負担軽減費とは。なぜ「報酬」ではなく「負担軽減」なのか
治験で受け取るお金は働いた対価ではなく、時間の拘束や通院などの負担を軽くするために支払われます。呼び方が「報酬」でない理由と、支払いがどう決められ、どう確かめられているのかを説明します。

治験に参加した人に支払われるお金は、多くの募集サイトで「負担軽減費」や「協力費」と呼ばれています。働いた対価としての報酬ではなく、参加にともなう時間の拘束や通院、交通費などの負担を軽くするために支払われるものです。
この記事でわかること
- 負担軽減費が何の負担を軽くするためのものか
- 支払いの決め方を、治験審査委員会がどう確かめているか(図解)
- 「報酬」と呼ばず、金額を前面に出さない理由
- 同意の前に説明文書で確かめておくこと
何の負担を軽くするためのものか
治験に参加すると、決められた日に入院や通院をし、検査を受け、期間中は食事や運動などの制限を守ります。JCVN のよくある質問では、負担軽減費は治験参加者の時間的な拘束や交通費などの負担を軽くする目的で支払うもので、法的には報酬という扱いではないと案内されています。
- 拘束される時間入院の泊数、通院の回数
- 通院にかかる交通費施設までの移動
JCVN「よくある質問」の案内をもとにした例です。何をどう考慮するかは治験ごとに異なります。
入院型は泊数、通院型は来院回数によって拘束の重さが大きく変わります。当サイトが集めている募集の泊数の分布は次のとおりです。
このサイトの集計データ
| 4〜7泊 | 43件 |
| 2〜3泊 | 27件 |
| 8〜14泊 | 17件 |
| 15泊以上 | 9件 |
| 1泊以下 | 1件 |
支払いの決め方はどう確かめられているか
負担軽減費の額や支払い方は、治験を始める前に治験審査委員会の審査を受けます。GCP省令のガイダンスは、支払いが参加を強制したり、判断に不当な影響を与えたりしないことを委員会が確かめるよう求めています。
- 1支払いの案を作る額・方法・時期、途中でやめたときの扱い
- 2治験審査委員会が審査参加を強制したり不当な影響を与えたりしないか
- 3説明文書に書く額・方法・時期と案分の方法
- 4説明を受けて判断する同意する前に確かめられる
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンス(令和7年4月1日)第32条の解説にもとづきます。
「報酬」と呼ばない理由
治験は、参加する人が内容とリスクを理解し、自由な意思で協力することで成り立ちます。GCP省令 第52条は、同意が強制されたり、判断に不当な影響を受けたりしたものであってはならないと定めています。
金額を判断の中心に置くと、リスクの理解より金額の大きさで参加を決めることになりかねません。日本PRO協会の自主ガイドラインは、負担軽減の内容を伝えることは認めつつ、金銭の支払いで参加を促す表現は認めないとしています。金額の文字だけを大きくする・太字にする・色を変えること、通院ごとに支払われる治験で合計の金額を示すことも、誘引にあたる例として挙げられています。
参加者が負担する費用
治験に参加しても、費用がまったくかからないとは限りません。厚生労働省は、治験薬を使っている期間中の検査費用や一部の薬の費用を製薬会社が負担する例、一定の範囲で通院の交通費を補助する例を挙げ、内容は病院によって異なるとしています。JCVN のよくある質問では、治療を目的とした通院の治験では、保険診療のため初診料・再診料がかかると案内されています。
参加する人が負担する費用がある場合は、その内容が説明文書に書かれます(GCP省令 第51条)。
同意の前に確かめること
- 支払いの有無と時期・方法を確かめる。 入院の治験は全日程の終了後、通院の治験は通院ごとなど、治験によって異なります(JCVN の案内)
- 途中でやめたときの扱いを確かめる。 説明文書に案分の方法が書かれています
- 自分で負担する費用を確かめる。 交通費の扱いや、保険診療の費用がかかるかどうか
- 事前検診だけで終わった場合や、予備・キャンセル待ちの場合の扱いを確かめる。 コーメディカルクラブは、キャンセル待ちの方には謝礼の支払いがないと案内しています
税金の扱いは、所得の区分や申告の要否が人によって変わります。JCVN は雑所得として扱われると案内しています。雑所得の考え方は国税庁のタックスアンサー(No.1500)で確認し、迷う場合は税務署か税理士に相談してください。
当サイトでの表示
当サイトは、一覧では負担軽減費を「あり」とだけ表示し、金額順の並べ替えや絞り込みは提供していません。詳細ページでは、掲載元がサイト全体で公開している目安の範囲を、掲載元名とともに表示します。案件ごとの金額は掲載元で確認してください。
公開するすべてのページと記事は、禁止語のリンターで機械的に検査しています。該当する語が1件でもあれば公開できない仕組みです。
この記事のまとめ
- 負担軽減費は、時間の拘束や通院、交通費などの負担を軽くするために支払われるもので、報酬ではない
- 支払いの額と方法は治験審査委員会が審査し、参加を強制したり不当な影響を与えたりしないことを確かめる
- 支払いは参加期間などに応じて案分され、途中でやめたときの扱いは説明文書に書かれる
- 参加者が負担する費用がある場合も説明文書に書かれるので、同意の前に確かめる
治験への参加と雇用の違いは治験への参加は雇用ではないで説明しています。現在の募集は募集一覧から探せます。
治験はアルバイトではありません。
いま募集中の治験
新着の募集から、新着順に4件。カードを押すと募集の詳細(参加条件・日程・掲載元)を見られます。
よくある質問
負担軽減費は必ず支払われますか
治験ごとに定められています。支払いがある場合、その額・方法・時期は説明文書に書かれます。事前検診だけで終わった場合や、キャンセル待ちの場合の扱いも治験や掲載元によって異なるため、掲載元と実施医療機関で確認してください。
いつ、どのように支払われますか
治験によって異なります。JCVN のよくある質問では、入院の治験は全日程の終了後に手渡しか数週間後の振込、通院の治験は通院ごとの手渡しや振込などと案内されています。支払いの時期と方法は、同意の前に説明文書で確認できます。
途中でやめた場合はどうなりますか
GCP省令のガイダンスは、支払いを参加期間などに応じて案分することを求め、最後まで参加しなければ全く支払われないような方法は不適当としています。具体的な扱いは同意の前に説明文書で確認できます。
当サイトで金額の高い順に並べ替えられますか
できません。金額順の並べ替えと絞り込みは提供しない方針です。金額を判断の中心に置くことは、参加の意思決定をゆがめると考えられているためです。
関連する募集を探す
条件を入れると、各募集に適合の目安が付きます。応募は掲載元のサイトで行います。
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この記事について
参照資料
- 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)
- 厚生労働省「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の改正について(令和7年4月1日 医薬薬審発0401第3号)
- 日本製薬工業協会「治験とは」
- 日本PRO協会「治験の被験者募集に係わる情報提供 自主ガイドライン」
- 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会「「治験等に係る情報提供の取扱いについて」及びQ&Aの解説」
- 厚生労働省「6.治験に参加いただく患者さんのために」
- JCVN「よくある質問」
- コーメディカルクラブ「よくある質問」
- 国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」
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参加の可否は事前検診と実施医療機関の判断で決まります。治験には副作用などのリスクがあります。適合判定は入力条件による目安です。



